在留資格「技術・人文知識・国際業務ビザ」がわかる!職種と要件を解説【技人国(ぎじんこく)】

このページでは、外国人雇用で最も活用されている在留資格「技術・人文知識・国際業務ビザ」について、国際業務専門の行政書士が解説していきます。

技術・人文知識・国際業務ビザで認められている業務は、業種や規模に関わらず、ほぼ全ての企業で必要とされる業務です。

技術・人文知識・国際業務ビザを上手に活用することができれば、外国人に幅広い業務で活躍してもらえます。

このページでわかること

  • 技術・人文知識・国際業務ビザで認められている業務・職種
  • 在留期間(日本に滞在できる期間)
  • 不許可事例から学ぶ許可取得のための要件

必要書類は?

在留資格「技術・人文知識・国際業務ビザ」とは

専門的・技術的分野での就労を目的とする在留資格による中長期在留者数の推移
出所:出入国在留管理庁

技術・人文知識・国際業務ビザとは、理系技術者、事務系総合職、そして通訳や翻訳、海外取引など、専門性のある業務を行うのに必要な在留資格のことで、「技・人・国(ぎじんこく)」とも呼ばれています。

出入国在留管理庁の公表している統計によると、技術・人文知識・国際業務ビザを持つ外国人は、2015年末には137,706人でしたが、2019年末には271,999人となっており、4年間でほぼ倍増しています。

現在、企業で活躍されている多くの外国人が、技術・人文知識・国際業務ビザを取得してることがわかります。

参照:「令和3年版入管白書」(出入国在留管理庁)

在留資格「技術・人文知識・国際業務ビザ」で認められている業務

技術・人文知識・国際業務ビザを取得した場合、「技術」、「人文知識」、「国際業務」のいずれかに属する業務が認められます。

技術

「技術」で認められている業務は、「理学、工学その他の自然科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務」です。

具体的な業務としては、プログラミング、システムエンジニアリング、ネットワークエンジニアリング、サーバエンジニアリング、CADオペレーター、電子回路・電子機器・機械の設計・開発、建築の設計・積算、品質管理、航空整備等、一定水準以上の技術や知識を必要とする自然科学分野の業務が挙げられます。

人文知識

「人文知識」で認められている業務は、「法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する知識を要する業務」です。

具体的な業務としては、営業、法務、経理、会計、人事、労務、社員教育、マーケティング、企画、コンサルタント等、一定水準以上の知識を必要とする人文科学分野の業務が挙げられます。

国際業務

「国際業務」で認められている業務は、「外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務」です。

具体的な業務としては、通訳、翻訳、民間の語学教師、海外取引、商品開発、インテリアデザイン、ファッションデザイン、広告、宣伝等、一定水準以上の外国人特有の思考・感受性を必要とする業務が挙げられます。

※上記の事例に当てはまらない場合でも、一定水準以上の技術、知識、思考、感受性を要する業務であれば「技術・人文知識・国際業務」が許可される可能性があります。

在留期間(日本に滞在できる期間)

日本に滞在できる期間を在留期間といいます。

技術・人文知識・国際業務ビザの在留期間は、「5年」「3年」「1年」又は「3ヶ月」のいずれかで、外国人の活動実績や今後の活動内容を考慮して、出入国在留管理局が決定します。

決定された期間を超えて日本に滞在するには、在留期間を更新(延長)する必要があり、更新をしない場合には、在留期間が終了する前に日本から出国しなくてはなりません。

不許可事例から学ぶ、許可を取得するための5つの要件

在留資格「技術・人文知識・国際業務ビザ」は申請をしたからといって、必ず許可されるものではありません

外国人が就労するということは、その分日本人の就労機会が奪われるということです。

要件を満たさない限り、出入国在留管理局からの許可は下りませんので、しっかりと確認しておきましょう。

在留資格「技術・人文知識・国際業務ビザ」の取得要件は、以下のとおりとなります。

在留資格「技術・人文知識・国際業務ビザ」の要件

  • 従事する業務に一定の専門性があること
  • 従事する業務に関連した科目を専攻し、大学等を卒業していること
  • 日本人社員と同等額以上の賃金を受け取ること
  • 経営が適正かつ安定していること
  • 滞在状況が良好なこと

従事する業務に一定の専門性があること

従事する業務に一定の専門性があるとは、大学(短期大学を含む)や日本の専門学校で学んだ一定水準の知識・技術が必要な業務のことを言います。

ただ作業を反復するだけの単純労働や学校で学んだ知識・技術がなくてもできる業務は、「専門性がない」と判断され不許可になる可能性が非常に高くなります。

・業務に一定の専門性なしと判断された不許可事例

教育学部を卒業した者から、弁当加工工場において弁当の箱詰め作業に従事するとして申請があったが、当該業務は人文科学の分野に属する知識を必要とするものとは認められず、「技術・人文知識・国際業務」の該当性が認められないため不許可となった

この事例では、弁当の箱詰め作業が一定水準以上の知識・技術を必要としない業務であったため、「業務に専門性なし」と判断され不許可となっています。

従事する業務に関連する科目を専攻して、大学または専門学校を卒業していること

技術・人文知識・国際業務ビザを取得するには、従事する業務に関連する科目を専攻して、大学または専門学校を卒業していることが必要です。

業務に関連する科目を専攻していなくてもできる業務は、一定水準の知識・技術を要する業務とは言えません。そのため「業務に専門性がない」と判断され不許可になる可能性が非常に高くなります。

・専攻した科目と業務に関連性がないと判断された不許可事例

ジュエリーデザイン科を専攻し専門学校を卒業した者から、外国人客の相談対応や通訳、翻訳に関する業務に従事するとして申請があったが、専攻した科目との関連性が認められず不許可となった。

この事例では、通訳、翻訳業務に従事するということなので、業務の専門性に問題はありません。しかし、専攻科目(ジュエリーデザイン科)と業務(通訳・翻訳業務)に関連性がなかったために不許可となっています。

日本人社員と同等額以上の賃金を受け取ること

日本人社員と同等額以上の報酬を受け取るとは、日本人と同じ賃金規定で、賃金・給与の支払いを受けることを意味します。

賃金規定を定めていない場合には、同種の業務・同等の地位にある日本人社員を基準とします。

外国人の受け取る賃金が日本人社員と比べて不当に低い場合には、不許可になる可能性が非常に高くなります。

・受け取る賃金が日本人社員と比べて不当に低いと判断された不許可事例

日中通訳翻訳学科を卒業した者から、月額17万円の報酬を受けて、海外企業との契約書類の翻訳業務及び商談時の通訳に従事するとして申請があったが、申請人と同時に採用され、同種の業務に従事する新卒の日本人の報酬が月額20万円であることが判明したため、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けているとはいえないことから不許可となったもの。

この事例では、業務の専門性にも、専攻科目との関連性にも問題はありません。しかし、月額17万円という報酬が、同じ業務を行う日本人の報酬と比べて、不当に低かったために不許可となっています。

経営が適正かつ安定していること

技術・人文知識・国際業務ビザを取得するためには、雇用企業の経営が適正かつ安定していることが必要です。

経営が適正であるとは、過去及び現在において、出入国管理及び難民認定法や労働法、最低賃金法などの法令を遵守していることを意味します。

経営が安定しているとは、売上、利益、従業員数、取扱業務量が多いことを意味し、設立年度が古いことも加味されます。

法令違反がある場合や小規模企業の場合、不許可になる可能性が非常に高くなります。

・企業の経営が適正でないと判断された不許可事例

ホテルにおいて予約管理・通訳業務を行うフロントスタッフとして採用され、入社当初の1年間は、研修の一環としてレストランでの配膳業務、客室清掃業務にも従事するとして申請があったが、当該ホテルにおいて過去に同様の理由で採用された外国人が、当初の研修予定を大幅に超え、引き続き在留資格該当性のない、レストランでの配膳業務、客室清掃等に従事していることが判明し不許可となったもの。

この事例では、当初の研修予定を大幅に超えて専門性のない業務に従事させていたことが出入国管理及び難民認定法に違反していたため不許可となっています。

滞在状況が良好であること

外国人の滞在状況が良好であるとは、法令を遵守してることで、留学生の場合は学校での成績・出席率が良いことも必要となります。

反対に、法令違反がある場合や学校の成績・出席率が悪い場合は、「滞在状況が悪い」と判断され不許可になる可能性が非常に高くなります。

・滞在状況が悪いと判断された不許可事例

専門学校における出席率が70%である者に出席率の低さについて理由を求めたところ、病気による欠席であるとの説明がなされたが、学校の欠席期間に資格外活動に従事していたことが判明し、不許可となったもの。

この事例では、学生の出席率の低さ欠席期間中に資格外活動(おそらく許可された時間を超える長時間のアルバイト)をしていたことが出入国管理及び難民認定法に違反していたため不許可となっています。

まとめ

いかがだったでしょうか。

上記の要件をしっかり抑えて申請に臨めば、許可を取得することは難しくありません。

しかし、世の中にはさまざまな業務・職種があり、さまざまな企業・事業主がいるため、必ずしもすべての要件を満たすことはできないかもしれません。そのような場合でも、詳細な資料を用意して出入国在留管理局と交渉をすれば、許可を取得できる可能性は十分にあります。

「専門性や関連性があるかわからない」、「小規模企業・新規設立企業・個人事業主なので安定性を立証できるのか不安」という場合は、ぜひ、ビザ申請・国際業務専門のアマート行政書士事務所にご相談下さい。

外国人雇用に必要な在留資格(ビザ)を、適法に、安全に、迅速に、あなたに代わって取得致します。