
在留資格「興行」について国際業務専門の行政書士が解説していきます。
在留資格「興行」は、外国人ミュージシャン・アイドル・俳優・スポーツ選手などが、観客の前でライブ・演劇・試合を行うためのビザです。
また、日本でのプロモーション活動や映画撮影、番組撮影、写真撮影などをする時も在留資格「興行」が必要となります。
在留資格「興行」は「エンタメビザ」や「芸能ビザ」とも呼ばれており、エンターテインメントビジネスに欠かせないものになっています。
このページでは、在留資格「興行」の種類、取得のための要件、日本に滞在できる期間を解説していきますので、しっかりと確認しておきましょう。
このページを読む前に
在留資格について詳しく知りたい方は、「必要な就労ビザがわかる!種類一覧と取得手続 外国人雇用にいちばん大切な在留資格」をご覧ください。
在留資格「興行」とは

在留資格「興行」とは、外国人アーティスト・アイドル・俳優・スポーツ選手が、観客の前でライブ・演劇・試合などの興行を行うための資格のことです。
また、日本でのプロモーション活動や映画撮影・番組撮影・写真撮影などの芸能活動を行うためにも必要となります。
音楽フェスに出演するアーティスト、映画のプロモーションを行う俳優、日本のチームに所属するプロスポーツ選手、日本の番組に出演するタレント、ファッション誌に起用されているモデルなど、さまざまな興行・芸能活動に在留資格「興行」が活用されています。
制作・運営スタッフも在留資格「興行」を取得することで、日本で活動を行うことができます。
在留資格「興行」の種類

「興行」は、活動の内容、規模、興行主の属性などによって以下の1号~4号の4種類に分けることができます。
1号~3号までは観客や聴衆の前でパフォーマンスを行う興行活動、4号は観客や聴衆を伴わない芸能活動となります。
どれに該当するかによってビザの取得要件が変わってきます。
種類 | 内容 | 具体例 |
---|---|---|
1号 | 比較的小規模な施設で行う演奏・歌唱・演劇・ダンス | レストラン、ショーパブ、スナック等で行われるライブやショーパフォーマンスなど |
2号 | 比較的大規模な施設で行う演奏・歌唱・演劇・ダンス | ・自治体や学校が主催する演劇 ・客席が100席以上の施設でのライブや演劇 ・演者の報酬が1日50万円以上のライブや演劇 など |
3号 | 1号、2号に該当しない興行 | スポーツの試合やファッションショーなど |
4号 | 観客や聴衆を伴わない芸能活動 | ・映画や楽曲、書籍等のプロモーション活動 ・映画撮影 ・テレビ等の番組撮影 ・ファッション誌等の写真撮影 など |
在留資格「興行」を取得するための要件
興行1号の要件

興行1号を取得するためには、出演者・興行主・施設の3つがそれぞれ要件を満たしている必要があります。
1.外国人出演者の要件
❶ 外国の教育機関において、興行に関する科目を2年以上専攻していること
又は
❷ 2年以上外国における経験を有すること
2.興行主の要件
❶ 外国人出演者に対して、月額20万円以上の報酬を支払うこと
❷ 外国人の興行に関して、通算3年以上の実務経験を有する経営者又は管理者がいること
❸ 5名以上の常勤職員を雇用していること
❹ 興行主の経営者及び常勤職員の中に、人身取引に関与した者、出入国管理及び難民認定法に違反した者、売春防止法で罰せられてから5年を経過していない者、暴力団関係者がいないこと
❺ 過去3年間、外国人出演者・外国人スタッフに対する報酬の未払いがないこと
3.施設及び運営機関の要件
❶ 不特定かつ多数の客を対象として、外国人の興行を行う施設であること
❷ 客の接待に従事する従業員が5名以上おり、かつ、外国人出演者等が接待に従事する可能性がないこと
(風営法第2条第1項第1号又は2号に規定する営業を営む施設の場合)
❸ 13平方メートル以上の舞台があること
❹ 9平方メートル以上の控室があること
(出演者が5名を超える場合には、1名につき1.6平方メートルを加えた面積)
❺ 施設の職員が5名以上いること
❻ 施設の経営者及び常勤職員の中に、人身取引に関与した者、出入国管理及び難民認定法に違反した者、売春防止法で罰せられてから5年を経過していない者、暴力団関係者がいないこと
興行2号の要件

興行2号を取得するための要件は、外国人の出演する興行が❶~❺のいずれかに該当していることです。
❶ 客席の数が100席以上あり、飲食物を有償で提供せず、かつ、客の接待をしない施設で行われる興行
❷ 外国人出演者の受ける報酬の額(団体に報酬を支払う場合は、その総額)が1日につき50万円以上で、かつ、日本に滞在する期間が15日以下である興行
❸ 外国の情景又は文化を主題として観光客を招致するために外国人の興行を常時行っている敷地面積10万平方メートル以上の施設で行われる興行
❹ 国や地方公共団体が主催する興行、学校において行われる興行
❺ 海外との文化交流を目的として、国や地方公共団体から資金援助を受けて設立された機関が主催する興行
興行3号の要件

興行3号を取得する要件は、興行に出場・出演する外国人が「日本人と同等額以上の報酬を受けること」になります。
(また、外国人の制作・運営・同伴スタッフも日本人と同等額以上の報酬を受け取る必要があります。)
興行4号の要件

興行4号を取得するための要件は、以下の❶及び❷です。
❶ 外国人の行う芸能活動が以下のいずれかに該当すること
- 商品又は事業のプロモーション活動
- 放送番組又は映画の制作に係る活動
- 商業用写真の撮影に係る活動
- 商業用のレコード、ビデオテープその他の記録媒体に録音又は録画を行う活動
❷ 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等以上の報酬を受け取ること
日本に滞在できる期間(在留期間)

在留資格「興行」で決定される在留期間は、「3年」・「1年」・「6月」又は「3ヶ月」です。
実際にどの期間になるかは、外国人の現在までの活動実績や今後の活動内容などを考慮して決定されます。
外国人は決定された在留期間の間、日本に滞在することができます。
決定された在留期間より長く日本に滞在してほしい場合、在留期間更新許可申請をすることでその期間を更新(延長)することができます。
更新回数に上限はありませんのが、「興行」の在留期間更新許可申請は許可の難易度が高いのが一般的です。
まとめ
いかがだったでしょうか?
「興行」は規模の大小を問わず、外国人を起用するさまざまなエンターテインメントで活用されてきました。
しかし、近年では、「興行」を取得した外国人が違法な就労を行ったり、就労を禁止されている「観光ビザ」で芸能活動を行うという事例が頻発しているため、出入国在留管理局での審査が厳格化され、許可を取得することが難しくなってきています。
特に小規模な興行・芸能活動を行う場合には、しっかりと要件を確認し、入念に書類・資料を作成することが許可取得のために不可欠となります。
もし、「自社での活動が興行のどの種類に当てはまるのかわからない」、「確実に許可を取得したい」とお考えでしたら、ぜひ、ビザ申請・国際業務専門のアマート行政書士事務所にご相談ください。
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